今シーズンの雪山登山は昨年暮れの北アルプス燕岳だけでしかなかった。アイゼン、ピッケル技術を忘れないために峻険なピークが連なる南八ヶ岳の主稜線で実践トレーニングをしてきた。
(1日目)自宅を朝5時ちょうどに車で出発した。美濃戸口の八ヶ岳山荘(標高1,500m)の駐車場には9時20分に到着。10時に登山をスタート。美濃戸山荘からを堰堤広場(北沢コース)までの林道を歩く。途中の美濃戸山荘を過ぎてから凍った雪道になりチェーンスパイクを装着した。今回ほど美濃戸口と赤岳鉱泉間のアプローチにこのチェーンスパイクの恩恵に預かったことはない。堰堤広場にはカッコいい赤白ツートンカラーのマムート鉱泉ジムニーが駐車してあった。赤岳鉱泉(2,200m)には14時13分に着。
(2日目)朝暗いうちに準備を進め、周りが明るくなる頃(05:35)赤岳鉱泉を出発する。ジョウゴ沢を渡り赤岩ノ頭(2,656m)までの雪のジグザグな登りとなる。この登山道は登山者が多いので良く雪が踏み固められ歩きやすい。冬の硫黄岳稜線の強風は良く知られており、強風で登山を断念せざるを得ない不安があったが、風の音は小さく天気は高曇りなので、このまま天気が変わらなければ登山は続けられる。赤岩の頭の直下50mぐらいのところが森林限界で、その上は広い岩クズの尾根になっている。9時05分に硫黄岳(2,760m)に到着。流れ来る雲に時々遮られてしまうが、まだ雪の多い阿弥陀岳、赤岳、横岳は見ることができる。写真を撮り、出発しようと歩き始めたら後ろから声がする。振り向く単独の青年が声をかけてくれた。ここまで夏沢峠から登ってきて赤岳鉱泉に下るそうだ。若者よ、ガンバレ!山頂から硫黄岳山荘のある大ダルミまでは平坦なジョウゴ沢火口の縁に沿って7つあるケルンを目印にして登山道を進む。大ダルミにある硫黄岳山荘の建物の陰に隠れて小休止をとる。大ダルミ(2,650m)から台座の頭(2,795m)へは緩い登りとなる。季節になればミヤマダイコンソウ、ハクサンイチゲ、オヤマノエンドウ、ミヤマシオガマ、キバナシャクナゲなどの高山植物が楽しめるところだ。クサリ場のある少し緊張のするカニの横這いを通過する。ハシゴとクサリ場が続き大同心、小同心の上部のスノーリッジを横岳の主峰奥ノ院(2,829m)へと進む。続く、無名峰から三叉峰に。三叉峰の左側には杣添尾根が東(山梨県)側に伸びている。続く石尊峰から鉾岳に進み日ノ岳へのルートを探す。東(山梨県)側は崖となって降りられない。鉾岳から少し戻ったコルから西(長野県)側のクサリ場をトラバースして日の出岳に向かう。このトラバースは凍った雪の斜面をシングルのピオレトラクションでトラバースする。日ノ岳から二十三夜峰へとトラバースが続く。二十三夜峰から地蔵の頭(2,716m)に向かう。計画では更に赤岳(2,899m)を登頂して文三郎尾根を下る計画だったが時間切れとなり地蔵尾根を下り行者小屋から赤岳鉱泉に戻る。
(3日目)阿弥陀岳(2,805m)に登り御小屋尾根経由で美濃戸口に下山する計画。赤岳鉱泉を6時53分にスタート。行者小屋から阿弥陀岳を目指してトレースのある雪の中岳道を登っていく。このトレースは阿弥陀岳北稜登攀に向かうチームのものだ。中岳道2,650m地点で中岳のコルに続く適当な雪面のトラバースルートを探したが見つからず、また雪崩の危険性※もあると判断し阿弥陀岳登頂を断念して引き返すことにした。行者小屋から赤岳鉱泉へ、北沢コース経由で13時38分美濃戸口の駐車場に戻ってきた(塚田)
(1日目)美濃戸口(10:00)~(1:15)美濃戸山荘~(12:35)堰堤広場~(14:13)赤岳鉱泉(泊) / (2日目)赤岳鉱泉(05:35)~(07:50)赤岩ノ頭~(08:33)硫黄岳~(9:05)大ダルミ~(10:40)横岳~(11:04)三叉峰~(12:54)地蔵の頭~(地蔵尾根)~(14:00)行者小屋~(14:45)赤岳鉱泉(泊)/(3日目)赤岳鉱泉(06:53)~(7:50)行者小屋~(9:30)中岳道2,650m地点~(下山)~(10:12)行者小屋~(10:50)赤岳鉱泉~(北沢コース)~(13:38)美濃戸口