東京朝霧山岳会活動日記Ⅱ

会山行活動の簡単な報告です!

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ上記画像:インド ガンゴトリ山群 バスキパルバット(6792m) ㅤㅤㅤㅤㅤ ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ ※各画像をクリックすると拡大されます

北ア 槍ヶ岳~穂高 涸沢岳 縦走

今回で4回目となった槍ヶ岳-穂高連峰縦走計画の結果は残念ながら途中の涸沢岳までで終わってしまったが、それでも恵まれた天候のもとで、最上の成果が得られた。上高地までのアプローチの方法を調べた結果、上高地の朝に到着する直行バスを利用することが効率的であると判り、7月30日の夜、新宿バスタから上高地行の高速バスに乗車した。車内は平日にかかわらず登山者などで満席であった。

7/31(月):朝5時20分上高地バスターミナルに到着した。バスターミナルのベンチで準備をおこない55分に出発する。バスターミナルからは梓川の左岸道を河童橋、明神、徳沢、横尾へと槍沢に向かって歩いていく。この道は、六百山などの山側からの沖積錐が横切りしばしば小さく上り下りしている。また以前に比べて、広く平坦になって歩きやすいと感じた。これは現在この歩道に電力管の敷設工事が行われている関係かもしれない。午後2時半ごろに天狗原分岐を過ぎたあたりから歩く速度が次第に遅くなりはじめた。シャリバテのようだ。暑い中で水分の少ない菓子類は喉を通らない。それでも休み休み登り、途中の播隆窟で、今回登山の安全を祈願して、ようやく夕方の6時半に槍ヶ岳山荘にたどり着くことができた。この時間まで雨に逢わなく幸いであった。山荘では、疲れのため食事が喉に通らず早々にふとんの中に潜り込んだ。

8/1(火):朝から快晴ではあるが、今日は休息と栄養補給のため、槍ヶ岳山荘に一日滞在することにした。午前中は、槍の穂先(3,180m)に登りこれまでになく1時間ほど頂上で他の登山者と360度の展望を楽しみながら雑談して過ごした。槍ヶ岳には今回で12回目の登頂となった。槍ヶ岳は、槍を天に向かって高々と突き上げている様を別名「日本のマッターホルン」とも呼ばれ人気がある。そして圧倒的なその景観のみならず、播隆上人の槍ヶ岳開山やW.ウェストンの槍ヶ岳登山、北鎌尾根の加藤文太郎、松濤明の遭難死事故などの多くの登山史上のドラマがあり、興味の尽きない山である。昼食の後は夕食の時間までふとんの中で惰眠を貪った。なお夕方一時的に、猛烈な強風と雨が山荘を襲っていた。
8/2(水):朝から快晴である。朝5時25分に山荘を出発。槍ヶ岳山荘からジグザグ道を飛騨乗越まで下降し大喰岳(3,101m)まで登り返すそして中岳(3,084m)南岳(3,033m)、南岳小屋までの比較的平坦な尾根道を歩く。南岳小屋から大キレットと滝谷の展望台から烏帽子岩の飛騨側の長いクサリ場を下降する。続く傾斜のある2段のハシゴを下る。そしてなだらかな歩きやすい稜線を進むと大キレット(最低鞍部2,748m)に到達する。長谷川ピーク(2,841m)の先は細い馬の背が連続している。続く信州側のクサリ場から飛騨側に回り込む。飛騨側の急な岩場のクサリ場を下り核心部の中で唯一休憩のできるA沢のコルに到達する。急斜面をクサリで回り込むように登り岩峰を飛騨側から巻く。高度感のある岩場である。続いて信州側のクサリを使って慎重に通過する。ルンゼの中クサリ場を落石に注意して登る。「飛ぶ鳥も通わぬ滝谷」と言われた岩場が見える。北穂高岳直下の浮石の多い岩場にはクサリ場や梯子が続き腕は疲れるが力強く登っていけるところだ。展望の良いテラスのある北穂高小屋には12時半に到着した。早速ビールで本日の行動の完遂を祝って乾杯する。
8/3(木): 北穂高小屋を朝5時25分に出発する。北穂高岳の北峰山頂(3,100m)でも360°の大展望を楽しみ、記念写真を撮る。松濤のコルから南稜テラスに通じる北穂分岐を通過し涸沢側から飛騨側に入る。傾斜は比較的緩く広い場所である。右手に1984と’86年に登攀したドーム周辺のルートが望める。滝谷ドーム下を6mのクサリと鉄杭を使って下っていく。奥壁バンドの200mのトラバースに入る。涸沢槍周辺はクサリ、ハシゴ、鉄杭が連続し緊張感のある登りが続く。クサリ場の合間にD沢のコル、オダマキのコルとやや広い鞍部がある。涸沢岳のクサリ場が続く急登を進み、岩の間をクサリと鉄杭で攀じ登る。その後少し穏やかになり涸沢岳の山頂(3,110m)に到達する。山頂から白出のコルにある穂高岳山荘が見え本日の核心部の通過が終了したことが分る。広い登山道を下り穂高岳山荘で小休止する。ザイテングラートを涸沢に向かって下りてゆく。涸沢ヒュッテで昼食を採り12時ちょうどに下山を再開する。本谷橋下で休憩。冷たい沢の水で喉を潤す。横尾谷からは屏風岩が良く見える。1986(S61)年8月16日に伊藤守氏と屏風岩の東稜ルートを登攀した。目でそのルートを追い、それを回想した。横尾山荘には15時に到着した。
8/4(金): 朝6時に横尾山荘を出発する。深い木々の森の中の歩道は暗くヒンヤリしている。8時45分に上高地バスターミナルに到着、9時半の新島々駅行の路線バスに乗車した。今回の登山は、コロナ禍が落ち着き久々の(私なりの)長期山行となった。また、装備の選択が適切でなかったためザックが重くなり予定どおりの行動ができなかったのは残念である。(当然、年のせいもあるが)次回以降は最小限の装備で最大の登山ができるよう綿密な計画・準備を行うつもりである。(塚田)

7/31:(5:20)上高地バスターミナル(5:55)~(6:00)河童橋~(6:43)明神~(7:42)徳沢~(8:42)横尾~(10:12)一ノ俣~(11:00)槍沢ロッヂ~(12:00)ババ平~(12:41)水俣乗越分岐~(14:35)天狗原分岐~グリーンバンド~殺生ヒュッテ~(18:30)槍ヶ岳山荘

8/1:槍ヶ岳山荘(8:25)~(8:46)槍ヶ岳山頂(10:00)~(10:25)槍ヶ岳山荘

8/2:槍ヶ岳山荘(5:25)~大喰岳~(6:32)中岳~(7:36)天狗原稜線~(8:00)南岳~(8:07)南岳小屋~(9:44)大キレットの最低鞍部~(10:11)長谷川ピーク(10:33)A沢のコル~(11:41)展望台~(12:30)北穂高小屋
8/3:穂高小屋(5:25)~(6:19)滝谷ドーム~(6:45)奥壁バンド~(8:20)涸沢岳~(8:55)穂高岳山荘~(11:35)涸沢ヒュッテ(12:00)~(13:50)本谷橋~(15:00)横尾山荘
8/4:横尾山荘(6:00)~(8:45)上高地バスターミナル     

    

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